2018年08月19日

どうでもいい話

随分と時を置いて久しぶりに文章らしい文章を書いた。



更新間隔は約一年と半年ほど。

そのサボり続けた間に、当たり前のように日常を過ごしていたけど、周りじゃ人が刺したり刺されたり、死んだり産まれたり、なんやかんやありながら、僕も僕で、山を開墾したり、崖の上から車と一緒に落ちたり、台湾や、ロシア、上海、インドやらタイやらに行ったり、沖縄に新しいスペースを作ったと思ったら東京に出稼ぎに来たりと、なんだか思い返せば波乱ばかりであった。



自分自身の記録としてそれらを残しておきたいところだけど、今さらそれらを掘り起こして書いていくには本が一冊分は出来てしまいそうな密度になってしまうので、これからはこれからの事を書いていこうと思う。

たまに思い返すことがあれば少しばかりはそれらについても書くかもしれないけど。





しかし、文章を書くというのは良い。

どうしても僕は一つの物事に対して全てを感情に支配されがちで、語彙力がものすごく低下して「最高!」「楽しい!」「つらい!」「めんどくさい!」の言葉以外が出てこなくなってしまうので、改めて過去を振り返り「あの時どうしてそう感じたのか、何をどう考えていたのか」と丁寧に感情や思考を拾い上げながら自分自身が抱く漠然とした内面や混沌とした思考をロジカルに言語化して整理できるところが非常に良い。

そして、日々様々な出来事が起き続ける中で、薄れてゆく記憶を記録して残せる事もまた良い。


それに僕は文章を書くのが好きなのだ。

ちなみに文章を読むのもまあまあ好きだが、三年に一冊ほどしか本を読むことはない。

そのため、僕の書く文法は滅茶苦茶な気がするが、それでも書くのが好きなのだ。


しかし、文章を書くにあたって弊害もある。

文章上の僕のイメージと、現実の僕のイメージの乖離現象である。


僕と一度も会ったことがなく、なおかつ僕のブログしか読んだことない人が実際に僕に会ったときにガッカリされる事がこれまで数えきれないほどあった。


そもそも、ブログに僕がなにかしら書くときは特別な出来事を書く事が多いし、普段から突然噴水に飛び込んだり、信号機の上に登ったりしているわけではない。


僕は人より三倍以上はあるのではないかというくらいに、本能というか、我欲というか、衝動めいたものが非常に強い。

しかしながらそれを抑えるだけの理性が五倍くらい強いので、結果的に人並みか、人よりもずいぶん理性的なつもりである。


だから、基本的に現実の僕はそんなに面白い人間ではない。


実際のところは人見知りの口ベタで、なかなか気の利いた話もできない。

人から質問されたらなんでも答えるが、自ら自分の話をする事も滅多にない。

そのため、「ブログと全然違う」と言われても、すまん。としか言えないのだ。




普段の僕はとても物静かでおとなしいし、常識外れなことなんてしないし、なんならめちゃくちゃジェントルマンだし、大人の余裕もあるし、悪いところと言ったら写真写りが極端に悪いことくらいである。


そんなわけで、変な髪型の写真ばかりが出回るせいで、僕が人に挨拶とかしてもなかなか気付いてもらえないので、とりあえず一番最近の写真でも載せておこうと思う。









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ごめん!

本当につまらない事をしてしまった。







それはそうと、この写真を見て頂きたい。


先日、ウーロンハイを作ろうと思い、焼酎を入れたコップである。




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あ、ダメだ。これはヒドい!写真がブレすぎてる。









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これこれ。

浮いているのはリンゴの果実ではない。

キンキンに冷えたブロックアイスを入れたつもりが、非常に均一なサイズ感のクラッシュアイスを入れていたのだ。


僕はクラッシュアイスが好きである。程よいサイズ感でシャリシャリしてて、食感を楽しませてくれる。


だから、このクラッシュアイスをコップに入れたときもラッキーな気分になったものだ。

これはウーロンハイよりもジュースとかで割った甘いお酒の方が合うに違いないのだけどなあと思いながら、友人のコップにも合計二人分のクラッシュアイスを入れ、焼酎を注ぐ。


トクトクトクと良い音がする。


ジュースの割ものは無かろうかと周りを見渡す。


というか、あれ?


そもそもウチにクラッシュアイスなんて無いのだが。


冷凍庫に氷を戻そうと氷の入った袋を確認する。















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刻みタマネギだった。







おわり。

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2018年08月03日

免許更新中毒者の話 その5





あえて先に結論から言おう。

また僕は敗北してしまった。



だからこれを読んでいるあなたが期待しているような逆転劇も無ければ、ドラマティックなオチが待っている事もない。

この先は、バッドエンドになる事を認められず、ただただ見苦しく抗う男の話を淡々と語るだけである。

どうかそれを理解しながら読んで欲しい。




おじさん「とにかくその肌に塗ってるものを落としなさい」


僕「む、無理です!これを落とすと肌が焼けただれてしまう!」


おじさん「だったら、もう今日は帰りなさい!肌が治ってから来なさい!」


僕「それこそ困る!明日には東京に行かないといけない!そうすると更新期限が切れるから今日しか時間がない!」


おじさん「じゃあ、落として来なさい!」


僕「なんでだよ!!これが本当に日焼けだとしても、あんたは日焼けが治ってから来なさいと言うのか?変じゃないかそんなの!」


おじさん「変なのはお前だ!もうあと10分で講習が始まる!それまでにその肌に塗ってる秘薬とやらを落とせないなら諦めろ」


僕「ぐっ!なんでそんなに頑固なんだ…。ああ、そこまで言うなら分かったよ!でもこの秘薬は特別なやつで、そう簡単には落ちない!だから、アレを用意してほしい。アレを!」







おじさん「なんだ?」









僕「クレンジングオイル」


おじさん「帰れ!!!」









僕の必死の抵抗も虚しく、全く何一つ譲歩してくれそうにない。しぶしぶ僕はトイレで秘薬を落とす事になってしまった。











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悔しかった。


今回、少しでもリスクを減らそうと車で15分の距離にある市内の免許センターではなく、あえて片道1時間半もかけて来た田舎の免許センターでこの仕打ち。
そもそも近所の免許センターでは、その昔、僕がバカ殿で現れたときに様々なイチャモンを付けられバトルを繰り広げた職員がいたため、そのような厄介な人物との接触を避けようと、田舎の免許センターまで来たというのに…。

都会から離れれば、大らかな人が多くて、少しくらい融通が聞きそうだと思ったのに…。

というか、あのオッさん見たことある気がするんだけど…、って、あっ!!!!









まずはこの動画を観て欲しい。


僕がカッパになって免許更新に行った時の映像を編集し、金に目が眩んでスペースシャワーTVで日本中に放送されてしまった暗黒動画である。




の映像に出てくる免許センターのおじさん。


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このおじさんは立ち位置から、僕がバカ殿時代にバトルしたおじさんであったと当時記憶している。
そして、この今回のしつこい押し問答の感覚…、あのおじさん…近所の免許センターからここに左遷してきたのでは…?!

一抹の疑念がよぎり始める。



世のおじさんたちの凄いところは何年経っても顔が変わらないところである。
しかし、残念な事に大概のおじさんは押し並べて同じ顔でもある。

「最近の若者はみんな同じ顔で分からない」とおじさんたちは言うが、若者たちもおじさんたちに全く同じことを思っているだろう。

自分がそうだと思っているとき、往々にして対極にいる相手も同じことを思っていたりするものだ。


ちなみに、おじさんと若者の狭間にいる僕は記憶力が壊滅的に悪い事も一因して、日常生活に支障をきたすレベルで誰一人の顔も名前も覚えられない。


だから、どうにか顔と名前以外の別の要素を補完材料にして人を識別するしかないのだ。



なので、全く確証はない。
しかし、僕の怒りの炎に薪をくべるには充分な材料でもあった。


僕は一矢報いようとおじさんへ挑むのだった。










僕「秘薬、落としてきましたー」







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僕は、上の写真のままでおじさんのところへ戻ると、おじさんは頭を抱えていた。


おじさん「きみ…、本当にそういうの無理だから。今日はもう帰りなさい。」


僕「ちょちょちょっ!ちょっと!!なにが?!なにが無理なんすか?!あんたが落とせって言うから、秘薬を落としたのに…。久しぶりに素肌が外気に触れて肌までヒリヒリしてきちゃったよ。こんなに辛い思いさせて、人を家に帰らせようなんてどうかしてる!」


おじさん「そんなの…、さっきより酷い顔になってるからに決まってるだろ!その顔が本当に認められると思ってるのか?!」


僕「だから、秘薬はそう簡単に落ちないからクレンジングオイルを用意してくれって言ったじゃん!これはあんたが蒔いた種だ!早く責任とって写真撮影してくれ!」



すると突然黙ってどこかに行くおじさん。


え?
撮影してくれるの?本当?



と思ったら、早足で戻ってきて、叩きつけるように牛乳石鹸を僕に渡してきた。



おじさん「もう、キミの余命あと5分しかないから。」




いきなり死の宣告である。




僕「ひどい!!あーああ!石鹸とかで洗ったらとっても肌が痛くて苦しいのになあ。」

ちらっ

一度ウソをついたら、もう最後まで突き通すしかない。僕は肌の痛みを訴え続け、ずっと、おじさんの良心に訴えかけようとしていた。



おじさん「もう、そういうの良いから。早く洗ってこないと私は行くよ。」


なんなんだ!
なんで一ミリも良心の呵責が無いんだ!

僕は石鹸を持って急いでトイレに駆け込んだ。

とりあえず、鼻の部分と頬の部分だけを残し、再度アタック!


おじさん「ちゃんと全部落としなさい。」


僕「目の近くは皮膚が弱くて本当に無理。」


おじさん「…。」



黙りながら時計を見はじめた。


僕「わかった!わかったよ!この人でなし!!」


今度は目だけを落として頬の部分を残して戻ると、まるで路傍の石ころを見るような冷たい瞳で言い放つ。


おじさん「次で最後だから。」






もう、ここまでだった。






最後の抵抗も虚しく、完全なる敗北だった。




結局、僕は秘薬と言う名のアクリル絵の具を落としきり、全く肌荒れとは無縁なツルツルのお肌で撮影をすることになった。









そして、出来上がった免許証がこれである。









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なんなんだ、このバッタは。




頭部と首にインクを残してる辺りに最後の抵抗の証しが伺えるが、しかし、目に光の宿っていない人体模型のような無表情で一点を見つめるこの男こそまさに敗北者の姿である。





現実は映画のようにはいかない。

最初に述べたように、逆転劇もドラマティックなオチも見せられず、これを読んでいる方々には心苦しい気持ちと申し訳なさでなんと言って良いのか分からない。



果たして、また僕は次の免許更新で同じような事をやってしまうのだろうか…。


それは、僕自身にもまだ分からない話である。







posted by ユーチャンチャン at 12:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月01日

免許更新中毒者の話 その4









じわり。




僕は、身体中の汗腺から嫌な汗が吹き出してきた。


心臓の鼓動は小刻みなビートを刻みながら脳みそに血液と共に大量の酸素と糖分を送り込む。



額からは一筋の汗がゆっくりと流れる。




わずかコンマ数秒の間で打開策を見つけ出さないといけないわけだが、そのコンマ数秒でも考える時間としては充分な量の脳内物質が生成され、ノルアドレナリン漬けになった僕の脳内では体感時間が100分の1ほどに感じられる能力を手にしていた。



汗はゆっくり額から頬へ。



その間、まるで詰将棋をするかの如く、何手先も読みながら、どのような言葉を返せば乗り越える事ができるだろうかと、あらゆるパターンを想定する。


顎の先からゆっくりと離れる汗。


何十通りもの候補から、最善の一手を導き出そうと高速処理をする脳細胞は、さらにこれまでの自分自身の過去を遡り、いかにして危機を乗り越えてきたか経験則に沿って、この危機の回避率が最も高い発言や行動の計算に入る。



身体から離れた一滴の汗はまだ宙に浮いたままである。



「今まで色々なピンチを乗り越えて来たはずだ。」
走馬灯のようにフル回転する脳はこれまで起きた数々の危機をフラッシュバックさせる。

子どものときに犬に噛まれたときの事から、お尻を怪我してパンツと皮膚が一体化しウンチが出来なくなってしまった事、そして、バイクで顔面から地面に向かってダイブした事、お金が無さ過ぎてスーパーの試食コーナーで一週間飢えを凌いでいた事、ライブハウスでブレーンバスターを喰らって脳出血を起こした事、他人の言葉に踊らされたアホから首元にナイフを突きつけられた事、廃墟に侵入したらパトカー10台くらい来て立てこもり犯みたいに取り囲まれた事…

色んな危険に晒されてきたのだから、ここから導き出される答えは…



あ、ダメだ!何一つ参考にならない!





ポタン



地面に汗が落ちた頃には時の流れはもう平常通りに戻っていた。





それは一つの大きな誤算。

まるで自分自身がスーパーコンピュータにでもなったつもりで、ものすごいスピードで脳を働かせてはみたものの、そもそも僕の脳みそはどれだけ回転させてもWindows95にも満たない、さしずめファミコン程度の演算能力しかなかったということ。






僕「な、ななななに言ってんすかね。あははは、このおじさん本当に困っちゃうな!」



一番最悪な手段「しらばっくれる」という悪手を僕は選んでいた。


もうこうなった時点でほぼほぼ手詰まりである。




おじさん「だって、キミね。これまでの免許証の写真全部ふざけてるよね?」


僕「ぇえ?!ふざ…、普段からいつもこんな感じなんですけど!ししし失礼だなあ。バンドとかやってるからついつい髪とか立てちゃうんですよね。」


おじさん「まあ髪は良い、その顔。絶対に日焼けじゃないよね?なんか塗ってるよね?」


僕「ぬ…塗るってなにが?な、なんの話ですかね?」


おじさん「いや、さっきから茶色汗をかいているのに何を言ってるんだ。」











ぁぁぁああああああ!!!!!!!!












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髪が全部抜けるかと思うほどの動揺。
余計にダクダクと汗をかいてしまう。


僕「い、いいいいや!まままあ、確かに塗ってると言えば塗ってますよ。でも、それの何が悪いんですかね?いやあ、僕には分かんないなあ!」


しらばっくれからの開き直り。



おじさん「他の免許証と顔が違いすぎる!そんなのは認められない」


僕「いや!顔は一緒ですって!肌の色が違うだけじゃないですか!それに、本当に日焼けが酷くてこれを塗ってないと肌が荒れて大変なんです!」


開き直りからのウソに移行。


余談ではあるが、僕は基本的に嘘をつく事が出来ない。

いや、正確には嘘をつけないのではなく、嘘をつくのが物凄くヘタクソなのだ。

それを自分で分かっているからこそ、わざわざバレて取り返しのつかないことになるくらいなら、最初から正直でいた方がマシだと思い、普段からウソをつかない。


それだけ嘘がヘタクソなのだ。

正直、もうこの先の会話は本当に恥ずかしくて思い出したくもない。





おじさん「おかしいな。これまでの写真を見ても全てキミは綺麗な肌じゃないか?」



僕「いや、最近から肌が荒れるようになって、そしたら、ウチのばあちゃん直伝の秘薬があって、それを肌に塗ると皮膚が再生するんです!」


おじさん「そんなの信じられるわけがない!なんなんなんだその薬は?そんな色の塗り薬なんて見たことない!」


僕「あ!ある!!なんかビワの葉っぱとか…、なんか薬草とか…、なんかすごいやつが調合された…ぁぁあ!!ばあちゃんの塗り薬をバカにしないで下さい!」




本当に見苦しい。
これを読んでる人はこの会話の内容こそまさに嘘ではないのかと疑うかもしれない。

言っておくけど、言葉遣いに多少の脚色こそあれど、会話の内容は本当にこのままなのだ。
正直なんでビワの葉っぱをピンポイントで出してきたのかもよく分からない。きっと肌に良さそうと思ったのだろうけど、とにかく僕はヤケになってしまっていたのだから仕方がない。冷静な感情に戻ることなんて不可能だった。



ただの色黒の男としてやってきたはずなのに、いつの間にか謎の秘薬を身体中に塗りたくった男という設定に変わっており、当初の脚本と違いすぎて、にっちもさっちもいかなくなっていたのだから無理もない。






とは言っても、中学の時の僕の学年の成績は下から四番目で、その内の下位3人は不登校だったので、結果として学校で1番頭の悪いのは自分だった事実は認めるしかない。あの中学生の時から僕は頭脳も精神構造も対して成長していなかったのかもしれない。


だって、ここからさらに見苦しい泥沼の戦いになってゆくのだから。







posted by ユーチャンチャン at 22:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

免許更新中毒者の話 その3




僕は奇妙な髪型のまま数日間無気力なまま過ごしていた。
「なぜ、誰に頼まれたわけでもないのにこんな事をしているのだろう」
「そろそろ後継者を作るべきではなかろうか。」
「というか、そもそも後継者ってなんなんだよ。」
そんな自問自答の日々である。


しかし、いくら考えてみたところでもうやるしか無いのだ。
何故なら明日には用事があって僕は東京に行かねばならないのだから。そして、東京に行っている間に免許の更新期間も切れてしまう。

つまり、免許更新はもう今日しかない。
そのようなギリギリになるまで無為な時間を過ごしていたせいで、僕は本来やろうとしていた姿を諦めねばならなかった。



これまで女装で性別を越え、殿様で時代を越え、カッパで種族を越えてきた。

もう次のステップとして目指すべきは神しかなかったのである。

そんな我々の世代で神と言ったら一人しか居ない。






















そう、ナメック星人である。





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そのために僕は触角用に髪型を残していたのだ。





本来であればそのまま肌を緑色に塗り、神と同化したピッコロになりきって免許更新へ挑戦したいところであるが、僕も世の常識くらいは充分に理解している。
免許更新にナメック星人がやって来たら、「お前は帰れ!」と一喝されるのは目に見えている。


それこそ、時間の猶予さえあれば手を変え品を変え、多様なチャレンジを繰り返せるが、今日に限っては、そんな門前払いを受けてしまったら、もう僕の免許更新のチャンスは無くなり、ただの気味の悪い髪型の男として東京に行くだけである。

それだけは避けねばならない。

そもそも、失敗を恐れずに挑戦できるほど僕はクレイジーな人間ではない。高校生の時に知らない女子から「あの人は障がい者なの?」と言われた経験から、僕の中で人に変わり者として見られる事はトラウマになっており、その時からなるべく変人扱いされないように努めてきた。

とは言っても、20代を過ぎても、自分が好きな事や正しいと思った事が、人に煙たがられたり怒られたりする事がままある。

その自分がやりたい事を客観的に捉え、一般的価値観に照らし合わせ、さも正当性があるように振る舞う説得力を磨くために、なにか行動を起こす際には、ちゃんと「やりたい事」「やるべき事」「やれる事」「やらなくていい事」「やりたくない事」これら5つをピックアップし、それらを天秤にかけ、どうする事がベストであるかという理論的思考能力を身につけられるようになった事は自分の人生において非常にデカい気がする。

当然、その思考法は今回も例外ではない。






【やりたい事】
ピッコロになって免許証を発行したい(感情的には全くやりたくない。これはあくまで目標値。)


【やるべき事】
無事に免許更新を終えること。


【やれる事】
免許更新で門前払いにならない程度の軽いもの。


【やらなくていい事】
無茶をして家に返されること。


【やりたくない事】
わざわざ変な格好と演技をして大人に怒られるようなこと。



これら5つから総合的に判断して導き出される答えはもう誰もが想像できる範囲内の妥協案しか残されてはいない。
そして、あいにく僕自身も人々の想像を上回れるほどの発想力も無ければ、人々の期待に応えられるほどのサービス精神もないため、いささか心苦しくはあるが、正攻法でゆく事にした。













とりあえず、肌を緑色するのは絶対にNGなので、それだけは避ける事で方向性は決まっている。



ただ、緑色ではなく、人間らしい肌の色であれば怒られないはずである。










つまり、黒人であれば許されるに違いない。


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当初のナメック星人案から比べてみれば随分と消極的なものになってしまったが、誰がどう考えても、これが常識の範囲内の限界だと思うので、このような格好に落ち着いてしまった僕をどうか誰も責めないで欲しい。


ただし、ここで大きな問題が一つあった。
そもそも、この日になるまで黒人になる準備などしていなかったので、ファンデーションなど用意してるはずもなかった事である。


そうなると、当然家の中にあるもので代用するしかない。

もはや家にあるものなんて相当限られてくる。

どこを探してみたってアクリル絵の具以外の選択肢はなく、それを顔や腕に塗りたくるしかなかった。
しかも、よりによってツヤありインクしかなかったせいでテカりがすごい。

ツヤなしインクがあればシットリと肌に馴染み、安全性は高いような気がするのだが、無い物は無いため、背に腹は変えられない。

そこで極力僕の黒光りしたこの肌から目を逸らさせるために、ナメック星人の触角用に残していた髪型を「!?」マークにしてメッセージ性を持たせる事にした。



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ちなみにこの「!?」マークは"特攻の拓"という
マンガにインスパイアされている。



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「特攻の拓」において、このマークは危険信号である。
そんな危険な状態の男を前にして肌の色をとやかく言う人はまさかいるまい。


それでも、もし、仮に肌の色の事を言われても、ただの日焼けだと押し通せば良い。

我ながら即席のアイディアにしては穴のない完璧な作戦である。
そして、僕はいざ免許更新センターへと向かった。

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※ちなみに「!?」マークの「‥」部分は両面テープで移植した。女性だってまつ毛エクステをして免許更新をしているのだから、僕のこの毛だってまつ毛より少し上の方にズレただけのなんてことのない植毛である。これがダメという事は無いはずだ。






とは言っても、段々と免許更新センターに近付くにつれて憂鬱な気分はぶり返してくる。


妥協案と言えど、誰がどう見ても頭のおかしい身なりをしてる事くらい鏡を見なくたって、多少の客観性があれば充分理解が出来る。

僕はずっと嫌だ嫌だと駄々をこねていた。


そうこう悩んでる内に免許更新センターに到着。



僕は意を決して、パーカーのフードをかぶり、なるべく目立たないように受付へ向かった。


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※受付をする僕の後ろ姿。フードの隙間からハテナマークがチラリとこんにちはしてるのがお茶目だ。



最初、受付の女性はギョッとしてたものの難なく受付はクリア。

しかし、なんだか偉そうなおじさんがやってきてざわつき始める。


僕はひたすら周囲の景色に同化するナナフシのような心持ちで存在を消して待っていた。

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※参考(木の枝に擬態するナナフシ)


しかし、そんな僕の祈りも虚しく免許更新センターの偉そうなおじさんから手招きをされてしまう。







おじさん「その髪型はどうなってるんだ?」




僕「え?スプレーで固めてますが何か問題でも?」



おじさん「…」




僕「…」





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おじさんは、困惑と苛立ち交わる無言の圧力をかけてくるも、僕はなんてことないどこにでもいる一般市民として、さも当たり前のように振る舞う。






おじさん「…その肌はなんだね?」



僕「肌?なんのことですか?」



おじさん「その色、何を塗ってるんだね?」



僕「ただの日焼けです。」



おじさん「ただの日焼けがそんなまだら模様になるはずがない!」



僕「は、肌が…弱いんです。」



おじさん「…。」



僕「…。」



おじさん「分かった…。いきなさい」











の、のりきった!やった!!





と、ここでぬか喜びはできない。

警察官とは、安心を与えて気を緩めた隙に絶望のドン底に落とすプロである。

それは免許更新センターの職員も例外ではない。

何故なら、僕は一度、バカ殿姿で免許更新に行った際に、発行済みの免許証を剥奪され、再撮影に至った過去があるからだ。


僕は席に戻り、また彼らに目がつけられないように再びナナフシのように心を無にして気配を殺した。


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しばらくするとまた手招きされる。


再び押し問答が始まるのかと憂鬱な気持ちになりながらも、強い意志を持って挑もうと、受付カウンターへと向かった。






おじさん「きみ、それ日焼けじゃないよね?」



僕「いやいや、だから肌が弱っ…!!!!!???」


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受付カウンターの向こう側のパソコンの画面を見た僕は自分の目を疑った。







そこに開かれていたのは僕のこれまでの免許証の数々であったのだ。






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…ぶっこまれた。







僕は絶体絶命の危機を察知した。






















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posted by ユーチャンチャン at 03:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

免許更新中毒者の話 その2

前回からのつづき




基本的に免許更新は自分の誕生日の前後一ヶ月、合計三ヶ月の期間内に済ませなくてはいけない。


しかし、免許更新をしたくないあまりに僕は二ヶ月間も免許更新のハガキを見て見ぬ振りをし続けていた。


そうこうしている内に、残り二週間で期限が切れるというところで友人の結婚式がやってきた。


招待状には「カラフルな装いでお越し下さい」の文字。


僕は免許更新のためではなく結婚式のために髪を切ろうと決めた。




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結婚式前夜。髪を刈り上げる。










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どんどん行く。











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もう前髪しか残っていない。













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サヨナラ、僕の大切な髪の毛たち。










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完成。天草四郎みたいになった。






免許更新の度に「楽しそうだよね」と多くの人から言われるが、改めて伝えておかなければいけない。

正直全然楽しいわけがない。ただのヤケでしかない。


見て欲しい。自分の姿を鏡で見た後の僕を。

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とても辛そう。我ながら可哀想。





理解してもらえないかもしれないが、そもそも僕は別に目立ちたがり屋ではない。

表現したいものや伝えたい事はあれど、積極的に自分自身が顔を出したいとは全く思わない。本当は舞台袖からシメシメと見ていたいだけのタイプなのだ。


なのに、自分で思いついた事を誰かが代わりにやってくれるわけでもないので、仕方なく自分でやっているだけである。


そうじゃなかったら、誰が好き好んでわざわざ自分からあのような出来損ないのキリシタンみたいな髪型にするというのか。






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※天草四郎(本物のキリシタン)







と、話が逸れてきた。戻そう。

とりあえずあのままでは髪型は完成ではなく、最終的にブリーチ剤で色を抜き、カラーリングするところまでが重要である


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ブリーチ剤が直接頭皮に当たって痛がる姿




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とりあえずブリーチ完了。


あとは、カラーを入れて髪型をセットすれば完成。

とりあえず免許更新の前に結婚式へ向かわねばいかないので、とりあえず髪型は免許更新用ではなく、結婚式用に合わせてビシッとキメる事にした。







【結婚パーティーファッションチェック】

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服装はシンプルにシャツとネクタイのみでありながら、新郎新婦の「カラフルな装いでのご出席」という要望に応えた、赤いシャツと赤いサングラスで統一感を持たせ、髪の色は明るめのグリーンにすることによって会場の植物たちとの調和も演出している。











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また、宇宙人のアンテナのようにピンと立てた髪の先にリボンをあしらったフォーマルなスタイルで祝祭感もアピール。














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ちゃんと後ろの席の人たちが新郎新婦の姿を見れるように邪魔にもならなかったようで、結婚式に相応しい髪型であった







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結婚式の帰り道でも、人々の道しるべとして活躍。



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あとは免許更新へと行くだけである。


しかし、ここまで準備が整っているというのに臆病な僕はまだ憂鬱な気持ちを引きずり続け、タイムリミットは目前へと迫ってきていた。


posted by ユーチャンチャン at 13:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする